ASD児の手の運動計画と制御

さて、だらだらと読んでみた論文を書きます。

隙間時間に読んだり、書いたりしているので、暇はつぶせます笑。

この論文は、ASD児の運動の不器用さについて「reach and drop task」 を用いて、その運動の計画や生成、制御の本質を捉えることを目的としています。

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Motor planning and control in autism. A kinematic analysis of preschool children
Sara Forti, Angela Vall, Paolo Perego, Maria Nobile, Alessandro Crippa, Massimo Molteni: Research in Autism Spectrum Disorders, Volume 5, Issue 2, April–June 2011, Pages 834-842

対象は、
知的障害のないASD児9名(平均年齢3.5歳)と性別および年齢が一致したTD児12名が参加しました。
ASD児の知的障害は除外されていますが、ASD児のFS-IQは70〜102でTD児のFS-IQは83~139の範囲で有意差を認めていました。

方法です。
課題は、いわゆる「ボールのプットイン課題:ターゲットの穴に向けてボールを移動させる課題」です。著作権の関係で図を出せないので、原本を確認してください。

雰囲気の画像を載せておきます笑。
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出典:くもん くるくるチャイム

原本は、こんなにくるくる回らないです。ポトンっと下に落ちるだけです笑。

運動学的な評価として、
ボールを置いている位置(A)から、ボールの穴がある箱(B)、ボールが入る穴(C)までの移動について手関節にマーカーをつけて測定しています。

具体的には、ボールへの接触から離すまでの動きであり、
総運動時間、累積距離、最大速度
動きの正確さ
・手と穴の距離
・ボール落下時の手首の傾き
後、運動制御のパラメータをピーク速度の割合や加速、減速の比率等の定義からいくつか表しているのですが、私の知識不足でわからないです。たぶん大事なパラメータなのに…。すいません。

上記の定義を基に
たぶん(A)から(B)までの運動は、primary movement(初期の運動計画に依存している)とし、(B)から(C)までの運動は、represent corrective submovements(制御、誤差修正に依存する運動)と考えて、データを解析してるみたいです。

結果です。
手の累積距離には有意差を認めませんでしたが、総運動時間は、ASD児はTD児の約2倍の時間(M = 1495ms vs M = 813ms)を要しました(P<0.05)。

意外にも?
動きの正確さを表す、手と穴の距離やボール落下時の手首の傾きには有意差を認めませんでした。

特徴的な結果としては、
課題の後半(B→C)である「represent corrective submovements」でASD児はTD児と比較し、動きの修正を行いました(79%)。

さらに、課題の前半(A→B)では、手の速度に有意差は認めませんでしたが、後半(B→C)になるとASD児は著明に速度が速くなりました(P<0.05)。またこのパラメータは、主効果はありませんでしたが、IQとの有意な相関(r = 0.49; p <0.05)を認めていました。

追加の解析として、
手首の傾きを各Phaseごとに25%、50%、75%と区切って比較しても有意差は認めませんでした。
しかし、75%以降のrepresent corrective submovementsからの割合を比較すると、ASD児は、TD児よりにもボールが入る穴に対する手首の傾きが適切ではありませんでした(M =112.68 vs M = 91.98 )。離すタイミングなのにかなり手を背屈しているのかな?

考察です。
意外にもASD児は、総運動時間は長いものの加速/減速の割合、運動の正確さはTD児と同様でした。しかし、運動の軌跡をPhaseで細かく分析すると、primary movementと比較し、represent corrective submovementsの時期である誤差修正や空間調整の制御に困難さを示していることがわかりました。

これは、運動の計画や生成までは、TD児と同等であるにも関わらず、最後の制御(微調整、誤差修正)が難しいということですかね。
しかしながら、今回の運動の計画や生成に関しては、課題の難易度も影響していると思うので解釈には注意が必要です。

また著者らは、総運動時間の遅延も上記の誤差修正を補完するための戦略ではないかと考察しています。

なるほどね~。

個人的には、primary movementもrepresent corrective submovementsに関しても、どちらが…ということもなく、身体性システムやネットワークとして機能しているわけで、解釈が難しいですよね。

で、おわり笑。

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